ななこ♂の部屋

小説「プログラミング・ガール」を書いています。

映画評「17歳のカルテ」

 この映画は傷ついた少女たちが再生していく物語である。主人公のスザンナ(ウィノナ・ライダー)は境界性パーソナリティ障害と診断され、精神病院への入院を余儀なくされる。そこで一人の少女に出会う。リサ(アンジェリーナ・ジョリー)は精神病院の中で王様である。その振る舞いは他の入院患者の心を傷つけ、職員にも攻撃する。

 スザンナはそんなリサの振る舞いをカッコいいと思い、次第に2人は仲良くなっていく。ここで描かれる精神病院は一種の「学校」とも映る。ウーピー・ゴールドバーグ演じる看護師が先生のようであり、患者は生徒のように映る。しかし、そんな楽しい日々も長くは続かない。リサは周りを振り回し、自分自身の感情も振り回す。そうして人間関係は崩壊してゆく。

 ある事件をキッカケに、スザンナはリサから距離を取るようになる。そして思う「ここにいてはダメ」だと。しかし、そうすんなりとは足抜け出来ない。女王様であるリサが許さない。そして事件は起こる。

 ぼくはこの映画を繰り返し観た。スザンナと自分を重ねて。しかしいつからだろう、

自分がスザンナに感情移入出来なくなっていった。スザンナが精神的に未熟だと感じるようになっていった。きっとそれは自分が歳を重ねたからだろう。ラストのタクシーの運転手の言葉が印象的だった。