ななこ♂の部屋

小説「プログラミング・ガール」を書いています。

ぼくの読書遍歴②

  予備校生の時、Y先生が影響を受けたという、坂口安吾の「白痴」を読んだ。読み終えた瞬間、いつもの電車の中の空間が歪んで見えた。文学という「毒」を初めて感じた。そこからぼくは文学の虜になった。

 太宰治中上健次村上龍吉本ばなな赤坂真理村上春樹阿部和重夏目漱石、そして滝本竜彦佐藤友哉滝本竜彦佐藤友哉はぼくと同世代だ。だからなのかとても共感できた。特に佐藤友哉はミステリーの要素が強く、清涼院流水などの「新本格派」と言われるジャンルの要素があった。虚構の世界(小説の中)に隠喩(換喩と言い換えてしまってもいいかも知れない)が含まれていた。分かりやすくいうと宮藤官九郎のシナリオのような(彼のシナリオには様々な小ネタが含まれている。)それを抽象度をあげている感じ。

 文学ばかりでは疲れるので、気軽に読めるエッセイもたくさん読んだ。東海林さだおさんの「丸かじりシリーズ」は今のテレビや雑誌のB級グルメの奔りだったと思う。そして松尾スズキの毒のあるエッセイはとても面白かった。

 今ではネットの方が面白いからそちらばかり見てしまうが、やはりたまに本が読みたくなる。特にぼくは文庫本が好きだ。「安い」というのもあるが、気軽に持ち運べて鞄の中に入れてもかさばらないのが良い。秋の夜長に久しぶりに読書がしたくなった。