ななこ♂の部屋

小説「プログラミング・ガール」を書いています。

芸術は爆発しない。

今週のお題「芸術の秋」

 

地元にいた頃、いつも河原を歩いている男がいた。彼の眼差しは何処か寂しげで、トボトボ毎日歩いていた。

 ぼくも毎日、河原を歩いていたのでよくすれ違った。大きなリュックに荷物をパンパンに詰めて、ビニール傘は常時3〜4本持っていた。ぼくは冗談交じりに母親に「また、芸術家と会ったよ(笑)」とか言っていた。なんとなくあの風来坊な感じがそれを連想させた。

 それから引っ越して会わなくなったが今でもあの芸術家を思い出す。まあ、ぼくも障害者になり、仕事が出来なくなったら彼のように河原を毎日トボトボ歩くかも知れない。それも悪くない。