ななこ♂の部屋

小説「プログラミング・ガール」を書いています。

精神科医との対話⑫

 「最近の調子はどうだい?」私は答える「ひどい鬱でした。」彼は「そうか」と答え、しばらく沈黙した。「頑張っているようだね。」私は出来れば薬を増やして欲しかったが、敢えて言わずにいた。彼は言う「頑張れ。」その言葉の中には100の意味が込められている、私はほんの10でいいから、その言葉の意味を考える。

 新緑の季節にカフェラテを飲みながら、その言葉を反芻する。エネルギーが少し回復してきているのかも知れない。悪くなかった。平凡で陳腐な言葉だが、やはり「意識高い系」の私にはピッタリの言葉だな、と思った。どんな状況においても格調高くありたい、と願う。マインドの問題だ。

 部屋に帰るとまるで蒸し風呂の様だった。エアコンをガンガンに掛け、タバコに火をつける。たいした内容でない未読のメッセージを開きながらパソコンに向かう。あるYouTuberは言っていた「世界を変えたい。」まるでジョン・レノンボブ・ディランの言葉か、と感じた。

 今は60年代ではない。が、ネットの時代に何が大切かを彼は知っているのかも知れない、少なくとも私よりは。答えは猫だけが知っている。