ななこ♂の部屋

小説「プログラミング・ガール」を書いています。

ある電車の会話。

 友人は言う「底辺は底辺に流れるんだよ。」私は答える「まるで椅子のない椅子取りゲームだな」と。勝者も敗者もいない世の中で。どちらにしても花が美しいのには変わりがない。みんな同じ空を見ている。しかし、果たして本当に同じなのだろうか?私には真っ青に見えるが、あの娘にはどう映っているのだろうか考える。

 電車の中で文庫本を読んでいる女性がいた。みんなスマホを使っているが、彼女の眼差しは強い光を放っていた。ネットは誰とも繋がれるような気がするし、誰とも分かり合えない気がする。そんな事は知っている。ただ、彼女は確かに誰かと繋がっていた。

 目的地の駅に近づいた。友人と別れて私はCDショップに行く。昔ほど流行っていないが、アイドルの特典付きポスターなど熱心にCDを楽しんでいる。私も洋楽のミュージシャンの特典付きポスターのCDを探したが、見つからなかった。その空間はゆったりと時が流れていた。