ななこ♂の部屋

小説「プログラミング・ガール」を書いています。

精神科医との対話⑳

 とうとうこのシリーズも20回目に突入した。もちろんこれは小説である。フィクションである。という前置きをして。

 とにかく私は歩くことにした。精神科医の言葉を頼りに。具合が良いのか悪いのかハッキリしないがとにかく歩くことにした。道には猫のフンやハトが餌を欲しがっていたが無視した。私が餌を欲しいくらいだ。

 腹が減ったのでコンビニで牛乳とあんドーナツを買った。これが私のランチだ。一服するとまた歩き始めた。ここのところの不規則な生活リズムで身体は弱りきっていた。フラフラになりながら歩いている。どうせ死ぬなら部屋の掃除を終えてから死にたい、なと思う。

 100点の掃除が無いように100点の死もまた無い。どうせなら100点を目指したいじゃないか、ヒマなんだから。あの娘と同じ空で繋がっていることだけを頼りに。あの娘は一見クールだが、話すとよく笑う娘だった。私の事を前向きだと言っていた。私はどうやら勘違いをしていた。そうか、自分は前向きなのか。まあ、カネが無いことには変わりはない。

 無職の日々は何かしらやることを見つけないとあっという間に一日が終わってしまう。どうせなら有意義に過ごしたいじゃないか。やはり前向き。ここでも前向き。鬱なのに前向き。まあ、良い傾向かも知れない。どうせ大した鬱では無い。タバコを吸いながらそう思った。そして家に帰った。帰る場所があることに感謝しながら。