ななこ♂の部屋

小説「プログラミング・ガール」を書いています。

精神科医との対話

 彼は言う「大切なものはルーティーンだ」。私はそれに頷く。惚れた腫れただのは世の中に100万通りくらいあるが、私の治療法は一つだけだ。だから私はスマホを捨てた。パソコンを捨てた。

 その断捨離が終わってから、そのカネでBOOKOFFでみかん箱一杯の詩集を購入した。私に必要なものはこれなのだ。高橋源一郎のマネをしてみたかった訳ではない。そう、私には良質な「ことば」が養分になり、形成される実を結ぶ。

 「カツカレーは最強の食べ物よ。」彼女はそう言った。私も同意した。カレーだけでも充分美味い。その上、カツが乗ってるなんてパラダイス以外の何者でもない。生きてく為にはそういうご褒美が重要なのだ。

 毎日、仕事が終わり、詩集を読む。今までだったら彼女からのメールを待っている時間だが。生憎、今の私には連絡する術は家の電話かFAXしか無い。詩集を読むのもメールを待つのも時間潰しでしか無いが。

 iPodからは古いロックが流れてくる。私は村上春樹が好きだし、JAZZが好きだ。もちろん、感傷的な意味で。外は12月らしい寒気が来ている。この時期は着るものに困るから、だいたい同じ服を着ている。

 マイナスをプラスに変えるのが芸術なら、やはり私は芸術家になりたい。職業的な意味ではなく。だから私は売ったスマホもパソコンも買い戻した。そこから何か生まれるんじゃないか?と思いながら。

 買い戻したスマホとパソコンの上にみかん箱一杯の詩集が乗っていれば、私は無敵だ。