眼鏡をかけた銀行員は言う。「これが節税対策になります。」私はPUNKのカリスマ。さらに銀行員は言う。「お子さんの為にも相続税対策しましょう!」と。この銀行員が言うことは全然PUNKじゃない。
PUNKのカリスマは言う「カネは全部、奥さんと子供にくれてやってくれ。俺の老後は6畳一間のアパートでいいから。」銀行員はビックリした顔をした。「あなたはこんなに恵まれていて、何が不満なんですか?」
PUNKのカリスマは言う「不満だらけだ。大体俺はあんたが嫌いだし、家にも帰りたくない。カネはコンビニのバイトで稼ぐし。」銀行員は、は???という顔をする。「あんたシド・ヴィシャスを知っているかい?」銀行員は答える「有名な経済学者でしょうか?」悪くない答えだったと気づく。きっとコイツと俺では見てきた景色が違うのだろう。
「OK、分かった。契約書にサインしよう。」彼はホッとした顔をした。これで会社に帰れる、みたいな。彼は言う「受取人は誰にしましょうか?」私は答える「あんたの名前でいいよ。」と。
彼は信じられない顔をした。「それは困ります。」なぜ?「会社に説明がつきません。」なるほど彼はカネが欲しいのではない、会社の利益が欲しいのだ。全くクソみたいなブラック企業を守るために。
私はギターで世界を変えたかった。ラブ・アンド・ピースと歌いたかった。あの中華屋でバイトをしてた頃が懐かしい。カネは無かったが、確かに私は幸福だった。