ななこ♂の部屋

小説「プログラミング・ガール」を書いています。

円卓の騎士たち

 それはまるで亡霊たちの会議みたいだった。議長は責任を取らない。損をするのは決まって弱いものだ。優しさなんて無い、空疎な会話が飛び交う空間だった。

 「サラリーマンにはなれないな」私は内心そう思った。堪えられない。気分転換に喫煙所に向かう。あと何時間続くのだろう。予定の時間はとうに過ぎている。喫煙所で時間を潰しながら、行き場所の無い自分がそこにいる。

 家に帰っても彼女から連絡はない。会社の飲み会なんだろう。タバコを吸いながらぼんやりと外を眺める。梅雨だというのに快晴の日々が続く。水不足が心配だが、彼女曰く「ダムかなんかに降らないと意味なんてないわ」それは正しいのかも知れないが、私は梅雨には雨が降って欲しい。

 ヘッドホンで「ゴールデン・スランバー」を聴きながら夕飯の支度をする。今日の献立は昨日の残り物だ。それをパソコンを開きながら食べる。ネットサーフィンをしながら何か面白いネタはないか探してみる。メタリック色をしたノートパソコンは昨年買った。それまで私はコンピューターというものに縁が無かった。

 友人に勧められて買ったパソコンは高い買い物だったが、毎日を少し良い方向へ導いてくれる。スマホは未だに持っていない。周りからはバカにされるが、だいたいケータイ自体好きではない。好きではないが流石に持たないと変人扱いされる。こんなモノで他人と繋がっているなんて思うほうがおかしいとは思うが。

 夕飯を食べ終え、未だに彼女から連絡が無いことにイライラしながら。やはりケータイは嫌いだ。なければないでいいのに。