ななこ♂の部屋

小説「プログラミング・ガール」を書いています。

精神科医との対話㉗

 サッカーで「まるでゴム毬のように」と形容される選手がいる。私が観た中でその形容詞にふさわしい選手は一人しか知らない。その選手は怪我をして引退してしまったが。

 私はサッカー選手でないので「引退」というものをした事がない。部活動もやった事がないので部活の引退も無い。人生から早く引退したいが、まだその時では無いらしい。

 そのサッカー選手の背中は希望で満ち溢れていた。ゴール前を跳ねるように動き、敵DFを翻弄していた。周りは言う「彼のような素晴らしい選手が引退するなんて残念だ。」と。私も残念に思う。ただ、だからこそ輝いて見えた事は確かな事かも知れない。可憐な花のような散り際だった。

 「第二の人生」という言葉がある。誰もが美しい散り際だとは思わないが、やはり誰かから必要とされる人生でありたいと思う。友人は言う「まるで老後のような生活だな」と。私は答える「年寄りにしては元気だろ?」と。