ななこ♂の部屋

小説「プログラミング・ガール」を書いています。

春夏秋冬

 朝、パッチリと目が覚めた。濃いコーヒーを飲み、新聞に目を通す。まるで脳が入れ替わったかのような爽快感だ。朝飯を軽く済ませ、散歩に行く。いつものコースだ。この街を「季節がない」と彼女は言った。私はこの街が嫌いではない。

 公園に行くと風は吹いてなかった。その事を少し残念に思うが、その代り初夏の陽気は過ごしやすかった。この公園で育ってきた気がする。単に気のせいかも知れないが。缶コーヒーを飲みながらしばらくその公園に座っていた。

 家出した事もあった「夢がない」そう思った。しかし、37にもなると夢なんて心の奥底にしまっておけば良い、そう思うようになった。もちろん今でも夢はある。目標と言い換えてもいい。一歩一歩、毎日積み重ねる。そしてダメになるのはしょっちゅうだ。慣れはしないが、諦めている。

 「愛がない」そう言われた事もあった。しかし、愛なんて存在するものか。保険屋のCMじゃあるまいし。私は愛よりも小銭が欲しい。それでプリンを食べればだいたいの事はどうでも良くなる。そう考えると「私のぽっこりお腹」は愛の結晶かも知れない、そんな愛はやはり要らない。

 今日で人生が終わったり、変わったり、報われるわけでもない、始まりもしない。始めから終わりまでテンションが高いなんてあるものか、やはり紆余曲折は存在する。悲しいことに。だから物語になるのだろう。その振り幅の中で毎日は消費されている。