ななこ♂の部屋

小説「プログラミング・ガール」を書いています。

精神科開放病棟の思い出②

 入院して思った事は、「みなさん優しい方ばかり」だ。逆に言うと、それが「弱さ」なのかも知れないが、少なくとも1ヶ月の入院期間中に、嫌な思い出はない。

 逆に、将棋を教えてもらったり、卓球したり、楽しい思い出ばかりだ。そこの病棟では、2人以上なら、病院外への散歩もOKだった。

 みんなでコンビニへ行き、ポテチやコーラを買い、食堂でワイワイしながら食べていた。私は学生時代は、ぼっち な事が多かったので、「遅れてきた青春」だと感じた。

 とても楽しい1ヶ月でした。そして、退院の日は来ました。最初に私に声を掛けてくれたA くん(仮称)は、私にいろいろ1ヶ月間、分からない事など、いろいろ世話をしてくれた。

 別れ際の言葉を今でもハッキリ覚えている。「ななこ♂くんは、2度とここに戻って来ちゃダメだよ。ななこ♂くんは、働けるんだから」と言われた。

 彼は家庭の事情や、経済的な理由で長期入院を余儀なくされている。彼も働けるのだが、そういった事情がある。

 私は辛い時に彼の言葉を思い出す。それが私の支えになっている。2度と会うことは無いかも知れないが、私は彼を親友だと思っている。

 だから私は頑張らなくてはならない。思い込みかも知れないが、彼の為にも私は働いて、世の中に関わっていきたい。

 その1ヶ月間は「再生」の時間だった。傷を癒やす。社会に出れば、病気を言い訳には出来ない。そして、それをしてしまうと彼を裏切ってしまうことになる。

 私はもうすぐ40歳になる。小さい頃思い描いた、カッコイイ40歳ではないかも知れないが、今の自分も悪くない。