ななこ♂の部屋

小説「プログラミング・ガール」を書いています。

精神科医との対話。

 「そんくらいしか、楽しみが無いんすよ。」私はため息をつきながらそう言った。主治医は「やれやれ」という顔をしながら、面倒くさそうに「何が不満かね?」と。

 「いや、不満ていうか、普通に就職して、結婚して、子供の成長を楽しみにするという人生からは程遠いので。」また主治医は「やれやれ」とした顔で「関係なくない⁉」と。

 「文学的ですね、その意見は。」私は答える。主治医は「ヲタクなんだよ、キミは」とため息交じりに答えた。「ヲタクは好きですけどね、私は」と私は答えた。

 まあ、それは良いとして、問題は毎日やることが無い、という訳ですな。サ店で本を読み、軽い運動して散歩して。たまに資格の本をパラパラ眺めるくらいだ。

 働いてる人から見たら、羨ましすぎる生活。でもねーーー、働いて無い、ということは日陰者としての、居場所の無さを常に感じてるのもなかなかツライものだ。

 日々を塗りつぶすような毎日だ。社会的に死んだ存在。それが私だ。だから金髪にしてみた。すると、すこぶる似合わない事が判明した、のでバッサリ坊主にした。

 すると、なかなか良い感じになった。そして私は「徳の高いお坊さん」としての人生を歩み始めた。まずは袈裟を着ることにした。

 そしたら、お年寄りが10円くれた。その10円でうまい棒を買った。すると「当たり」が出た。それをヤフオクに出品したら、5000円になった。

 その5000円を競馬の3連単にぶち込んだ。すると万券に化けた。1000万円手に入れた。それで株を買ったら、億万長者になってしまった。

 私はただ、就職して、結婚して、子供の成長を楽しみにする良いパパになりたかっただけだ。億万長者なんかになりたくなかった。

 だから、身寄りのない児童養護施設に寄付した。良いことをしたつもりは無いが、まあ、悪い気はしなかった。未だに日陰者であることは変わりは無いが、。