ななこ♂の部屋

小説「プログラミング・ガール」を書いています。

ロックンロール

 私には行き場所が図書館と公園しかない。ま、それに満足している訳ではないが、無職だから致し方ない。

 出来ればタバコが吸えれば有り難いが、このご時世、なかなか難しい。冷たい缶コーヒーを飲みながら、ぼんやり考える。

 私には何も無い。仕事も、家庭も、友達も、カネも。あるのはガラクタばかりだ。それを売り払って、なんとか生活している。

 コンビニで美人な奥さんを連れて、子供は楽しそうにしている。パパは趣味の良い、ミニバンに乗り、煙を気にしてか、iQOSを吸っている。

 「人生、勝ち負けではない」という事は知ってるが、自分の中にひどく冷たいモノを感じた。自分には一生縁の無いものだと思い知らされた。

 自分は不幸だとは思わないが、精神安定剤が無ければ生きていけない自分は、まあなんとういか厄介だ、自分でもそう思う。

 暗い話ではないんだけどね。事実だから。私なりに努力はした。小学生から塾に通い、片道3時間かけて、中高、進学校へ通った。大学も何とか卒業した。

 大学を出てからというもの、カネばかりが無くなっていく。消費する事でしか社会と関われない。お客さんにはみんな笑顔だから。

 働いても仕事は続かない。病気持ちのツライところよ。この病気になって20年。まるで時が止まったかのようだ。

 前向きに、前向きにいきてますよ、もちろん。でも、たまには愚痴を言わせて下さいな。それくらいの自由は欲しい。

 私は「良い子」ですから。精神科医にも良い子を演じて、親戚の集まりでは笑顔を絶やさず、友達はいないので割愛する。親?感謝?したいが、出来ない(笑)。

 卑屈に生きることが自分の処世術だ。でも、もうそれも飽きた。39にもなり、情けない話だが。

 でも、生きてるんだな。生きてるとね、スーパーの品出しのバイトなら出来るかな?とか、せっかくなら資格を取りたいなとか。

 そうやって毎日を塗りつぶして生きている。Let It Be 。THE BEATLES は最高だ。そう、ロックンロールは最高だ!