ななこ♂の部屋

小説「プログラミング・ガール」を書いています。

はじめてのPro

 最初は買う気なんて全然無かった。インターネットと電子書籍を読むだけなら、今までのもので充分だったし、何も不満が無かったからだ。新製品のスペックが「とんでもない」事になっているという噂を聞いても、特に惹かれなかった。いくらスペックが高くても3Dゲームとかやらないし、iPad は「iPhone の画面がデカくなっただけの製品」だと思っていたから。ちょうど、大画面のiPhone6s Plus に買い替えたばかりだったから、iPad さえ要らないと思い始めていたし。しかし、Apple の考えは そんなユーザーの考えの遥か上にあることを思い知った、、、

 Apple は一貫してスタイラスペンの導入を拒絶していた。それはジョブズの考えに基づくもので、画面を指で操作することを推奨していた。わざわざペンを使うひと手間を省略しており、それはApple Store で買い物をする時にも書きにくくても指で署名させられたりしている。しかしその掟は破られることになった、Apple Pencil という新たなデバイスの登場によって。

 Apple Pencil は精密なペンである。あるイラストレーターによると、紙に書くのと遜色ないくらいの書きやすさと精密さを持っているらしい。新しいiPad Pro にはSmart Keybord という一体型のキーボードも存在する。Appe Store で何回か試してみたが、最初は9.7インチのディスプレイ・サイズに合わせているため、少し打ちにくさはあったが、深くタイピングが出来ることにより、慣れれば違和感は無くなっていった。この2つの新しいデバイスにとても強く惹かれた。

 また、2つのアプリを同時に2画面で操作出来ることも大きかった。例えばインターネットを開きながらメモを取る事も出来た。ペンを使えば、まるで紙のノートに書き込んでいるのと同じだ。メールチェックしながら動画を見たり、4つのスピーカーから出る高音質の音楽を聴きながらインターネットしたり、SNSをしたり、様々な組み合わせが出来、なぜApple がハイ・スペックなiPad を作ったか理解した。

 僕はiPad Pro を買ってから下手くそながら絵を描いたりしている。子供の頃の落書きと一緒だ。誰かに見せる訳ではないので、自分が楽しければそれでいい。「表現とは自由である」という事を教えてくれるアイテムが、僕にとってiPad Pro だ。