ななこ♂の部屋

小説「プログラミング・ガール」を書いています。

夏の日

 湿気が両肩に重くのしかかる。午後2時のアスファルトは照り返しにより体感温度は上昇する。私にこの夏を乗り切る体力はあるのだろうか?この夏が鬱陶しい。BBQなんてやってるリア充は嫌いではない。花火をしている若者が夜の公園にいるが、さして気にならない。

 介護の仕事を10年していたお陰で、腰痛持ちになった。2度としたくない仕事である。得たお金は僅かなモノだ。今は残っていない。信頼できる身内も友達もいない。それを寂しい事だとは思うが、自分がしてきた事だから諦めている。

 映画を観てきた。とても面白い映画だった。人間とは単純なモノで、それくらいの事で生きる気力を頂いた。「万引き家族」は考えさせられる映画だった。「家族」という器は杓子定規で計れない。

 私は自分で不幸だと思っていたが、そんな事は全然無く、むしろ幸せなのだな、と改めて感じた。不幸なんて面白い映画の前では無力だ。私は幸せな気分の余韻に浸りながら夜道を歩いた。