ななこ♂の部屋

小説「プログラミング・ガール」を書いています。

精神科医との対話。

 まーーーた、アイツがいる。私は目線を避けるようにコンビニへと入ろうとするが、後ろから「おーーい」という声がした。

 「まずいな」と、ココロの中で舌打ちをした。相変わらず、手にはストロングゼロの500mlを持っている。床にはもう一本転がっている。

 「バイトしてる?」と聞かれた。してないと答えると、「いいバイトあるよーーー。OOはねー評判いいよ」と教えてくれた。

 そうなんだ。そう答えると「こないだゲーセンで500円貰った」と言ってきた。「出た!」コイツはたかり屋なのだ、500円の。

 私は前もって「俺は500円無いよ」と言った。ヤツは「そうか」とだけ言った。「ツマミが柿ピーなんてショボいもんなーー」とも言った。

 「夜勤明け?」私がそう尋ねると、「いや、バイトはしていない」と答えた。たぶんそうだろうと、私は思っていた。

 これから用事があるから帰ろうとすると、「どこ?どこよ?」と聞いてきた。あまり詳しく話したくは無いが、「作業所ってとこに通ってる」と答えた。

 「カネになるの?」と聞かれたから、「ビックリするほどカネにならない」と答えた。たぶんヤツの頭の中は500円でストロングゼロ2本とコンビニの焼き鳥で一杯やりたいのだろう。

 そしてヤツと別れた。私にとっても500円は大金だ。でも、あんな人生も悪くはないなーーーと思ってしまう私がいる。