ななこ♂の部屋

小説「プログラミング・ガール」を書いています。

精神科開放病棟の思い出①

 何年前だろう、おそらく20代の頃に精神病院に1ヶ月ほど入院した。理由は昼夜逆転が酷く、生きてるけど死んだような毎日を送っていて、主治医から勧められたから。

 はっきり言って、精神病というか、精神科にかかることで人生、捨てた気になっていた。入院もイヤでも良くも思ってなかった。何もかもがどうでもよかった。

 看護師に案内されて、同じ病室の方々に挨拶した。別にコミュニケーションを取る気も無かったので、iPod とDS を持っていって、退院までの時間潰しだと割り切っていた。

 その日は看護師に病院のルールをいろいろ教えてもらった。生活用品をあまり持って行かなかったので、売店で購入したりした。

 そうこうしているうちに、メシの時間。配膳車の前で並んでメシを待っていた。席に座り、メシを食べてると、私と同年代と思しき男の子が「隣いいですか?」と聞いてきた。

 「いいですよ」と答えると、いろいろ質問してきた。主治医は誰?とか、何処から来たのか?とか、歳はいくつか?とか。

 なんかそんな世間話も久しぶりだったので、少し楽しかった。その夜は良く寝た。朝起きて担当の看護師に「寝れた?」と聞かれて、「よく寝れました」と答えた。

 入院初日は、みんな緊張と不安で寝れないことが多いらしい。実を言うと、私はこの生活が少し楽しいものだと思い始めていた。

 理由はメシを食べたあと、食堂でTV を見ている人がいたので、混ざって見ていた。退屈な入院生活なので、新人はいろいろ聞かれ、チヤホヤされるのだ(笑)。

 その時間が久しぶりに他者との関わる時間で、楽しかった。TV を見ながらあーでもない、こーでもないと話をするだけで、今までの引き篭もりの生活より楽しかった。(続く)